MDR-10RNC レビュー エージング14日目 完

2014/11/06

  ノイズキャンセルヘッドフォンMDR-NC500Dの内蔵電池がヘタってしまったので、新しくMDR-10RNCを買いました。その話でも。

  もともと私はソニーのヘッドフォンを信頼しています。ノイズキャンセルに関してはBOSEが有名ですので今回はそっちも検討しようと思ったのですが、数カ所のレビューを見たら壊れやすいという傾向が目につきましたので却下。もともとBOSEスピーカーの低音が嫌いなのもあってソニーに。

  なぜ私がソニーを信頼しているかと言いますと、その昔CDとレコードが半々位のシェアだった頃、ちょっと高価なヘッドフォンをとMDR-CD7を買ったのがきっかけです。電気店に友人と試聴しに行ったのですが、同価格帯では圧倒的に音質が良かったわけです。国産ヘッドフォンではAudio-technicaも有名ですが、全くMDR-CD7の足元にも及びませんでした。友人も同意見だったので、ソニーのMDR-CD7と5000円安いMDR-CD5の両方を検討。比べるとややCD7のほうが音が前に出て来て高音の限界も高い。しかしMDR-CD5は5000円安いのを感じさせない優秀なコストパフォーマンス。結果私はCD7を、友人はCD5を購入しました。ちなみにCD7は当時民生用としてはソニーのフラッグシップモデルだったと記憶しています。(オーディオマニア用にはもっと高価なものがあったかもしれません)

  その後も電気店に行った時、たまにいろいろなヘッドフォンを試聴していたのですが、国産ではソニーの圧勝。他のメーカーは比較対象にもならず。最近はAudio-technicaも性能が良くなりましたね。5万円位のやつを聴いてみた限り、なかなかバランスの良い音を出していました。しかし最初の印象は払拭できず、今でもヘッドフォン=ソニーになっています。確かにAKGやゼンハイザーもいい音だと思いますが、私がMDR-Z1000の海外バージョンであるMDR-7520を買った時は、聴き比べてやはりソニーを選びました。

  MDR-7520の前は銘記とか言われてるMDR-CD1700を使っていました。それまではヘッドフォンでは作曲・編曲の際に使用。最終ミックスやマスタリングにはヘッドフォンは使えないという発想でしたから、聴きやすくて音が良いという選択基準です。しかしこのヘッドフォンは聴きやすいだけあって、音が悪いところも悪くないように聴かせてくれます。MDR-7520に買い替えた時、CD-1700では気付かなかった70年代のJazzのCDで音が歪んでいる部分や、Protools真っ盛りのCDにたまにDAWで発生するプチっというデジタルノイズを発見したりして、7520の圧倒的な解像度に驚きました。

  MDR-7520の解像度以外の特徴は、音が正直に出ますからイコライザーの効きがすぐに出音に出ます。iTunesで音楽を聴いていても補正は少しいじるだけで良く、プリセットされている派手な設定なんか使い物になりません。もうひとつはコンプの効きがヘッドフォンの割によく解ります。従ってミックスやマスタリングの最終前段階まで使えます。音楽屋では有名なCD900STはパンパンに音が出て来るので、あれでミックスとかやっている人はなかなかのチェレンジャーです。プロ現場でモニターヘッドフォンとして使われていますが、レコーディング時、プレイヤーのモニター用という意味ですので。

  と、私のソニーヘッドフォンへの信頼を長々と書いてしまいました。そこで本題のMDR-10RNCの初期レビューに移ります。

  まず、最初の出音はお話になりません。

  現在エージング2日目ですが、少し良くなってきました。どうお話にならないかと言いますと、およそ120Hz以下と6KHz以上は出ているのですが中音域が鼻がつまったような音で、出音が引っ込んでるという感じ。今の段階では使い込んだNC500Dのほうが圧倒的に音が良いです。ただNC500Dよりノイズキャンセル力は進化しています。

  ちなみにMDR-7520を完全にエージングするには1500時間位かかりました。というわけでポップ、ジャズ、ロック、エレクトロニック、クラシックを非圧縮で放り込んでいるiPodをリピート設定して、現在MDR-10RNCは絶賛エージング中です。とりあえず7520には近づけないのは当然ですが、NC500Dは追い越して欲しい。

  あとMDR-10RNCの特徴はソニーWebsiteに書いてありますが、手に持った感じはかなり軽く装着感はとてもいいです。それとあっちこっちのレビューに書かれていますが、電源OFF時の音は良くありません。しかし単4電池駆動なのとノイズキャンセル用途でしか使う気はありませんので、全く気になりません。

  最後に、MDR-1RNC markIIにしなかったのは重さです。音が良かったとしても使用感が悪いのは却下です。

  なおエージングの結果は、後日この後に追記します。


 

  約3日・・・エージング68時間経過。随分と出音が良くなってきました。しかし中音域がまだ引っ込んでいて、全体的に音が前に張って出て来ないという感じです。
 

  約4日・・・エージング94時間経過。1K〜2KHzのあたりがまだすっこんでいてきらびやかさに欠けますが、なかなかの音質向上です。音の荒れた感じもスッキリして来ました。一週間もすれば本来の能力を発揮してくれそうです。

  約7日・・・エージング164時間経過。一週間経ちました。まだバランスは悪いですが、許容範囲になりました。ノイズキャンセルヘッドフォンにありがちな低域を強調したチューニングがなされているので、イコライザーで低音を減らしてやればマシなバランスで聴こえます。ノイズキャンセルヘッドフォンは電車や飛行機の中、屋外など騒音が多い場所で使用するように設計されていて、そういう場所では低音が引っ込んで聴こえます。だから低音を強調しているのでしょうが、室内用切り替えスイッチの装備を希望したいものです。室内のエアコンや屋外から漏れて来る騒音をかなりカットできるので、室内でピアノソロ等を聴く時にはかなり重宝します。
  一週間のエージングで音が荒れた感じもなくなり、NC-500Dより音の質感も上がりました。最初の音と比べたら段違いの差が出ます。私は追加一週間位エージングを続けようと思います。

  約12日・・・エージング285時間経過。ピアノソロを聴いた時、音が金属的(キンキンとした音ではなくコンコンという響き)だったのですが、それも自然になってきました。ボーカルのサ行やシンバル音の刺さりも小さくなり、音のディテールが良くなってきました。やはり2週間連続エージングは必要なようですね。近づけないのは解ってはいるのですがMDR-7520と比べてしまい、7520の音質の良さに幸福感さえ感じてしまいます(笑)

 

ヘッドホンをエージングしたら音が良くなったって真顔で言ってる奴が居てワロタ
  ↑こういう記事を見つけました。私の記事を見て「エージングで音が良くなるってほんまかいな?」って思ってる人もいるかもしれませんので、ちょいとそれについて書いてみようと思います。ちなみに現在もMDR-10RNCはエージング中で、12日目に書いたピアノのコンコンという響きがさらに改善されていました。

  エージングは「音が良くなったような気がする」というレベルではなく「明らかに良く」なります。良くなるというのは「本来の性能が出て来る」という意味で、新しく買った道具が手に馴染むという趣のものではありません。後者は身体が道具に慣れて来るという意味ですが、前者は可動部分が使う事によってスムーズに動くようになるといった違いです。私もオーディオマニアではありませんから、養命酒を飲んで身体がなんとなく調子いいみたいな変化なら解らないと思います。ケーブルを上等のものに替えて音が良くなったというのも解らないでしょう。しかしエージングは「明らかに」「かなり」変ります。

  エージング前はどういう音かと言いますと、ある周波数帯域がちゃんと再生されなくて、例えばボーカルが演奏に埋もれていたり、シンバルが気持ちよく鳴らないといったものです。他には音が荒い・・・例えばボーカルのサ行がきつくて耳に刺さる、ハイハットシンバルがジャキジャキ鳴るといったような音がザラつくというのがあります。これら問題はエージングによって解決します。ただ、その機種の元々の性能が悪く、そういった音が基本なのであればダメでしょうが、それでもそこそこ良くなるとは思います。
 
 
  14日・・・エージング336時間経過。ピアノの音も自然になったので、取り敢えずレビューは一旦終了してまとめます。
  周波数特性はフラットではありません。かなり低域寄りですが、これはノイズキャンセルヘッドフォンの使用シチュエーションを考えた補正だと思います。部屋聴きの場合、iTunesのイコライザでBass Reducerにすればいい感じです。低域の特徴はぼやけた感じですが、普通と言えば普通です。中域はふくよか。8K以上の高音は普通に出てます。音質はなめらかで品が良いと思います。解像度も普通。
  本体の軽さとイヤパッドの設計も良好で、装着感はよいと思います。ノイズキャンセルモードはオートだけでNC500Dにあった手動切り替えができません。NC500Dは手動のほうが良好なモードの時がたびたびあったので、手動を残しておいて欲しかったと思います。またNC500Dでは無音時には「シーー」といったノイズがありましたが、10RNCでは低減されています。
  個人的な満足度はノイズキャンセルヘッドフォンという見地で、満点5点の4.5点の満足度。音質のみに限定すると3.5点といったところです。